【障害・対策事例報告】SQL検索時におけるWITH(NOLOCK)指定漏れによるシステム遅延障害と対策

データベースを扱う業務では、日常的な検索処理がシステム全体に大きな影響を与えることがあります。

特に商用環境でのSQL実行は、たとえ「検索のみ」であっても慎重さが求められます。

今回は、検索SQLに WITH(NOLOCK) を付与し忘れたことがきっかけで、システム全体に遅延を引き起こしてしまった事例と、そこから得られた教訓について振り返ります。

発生した現象

業務上、データ修正の前提として日々検索SQLを実行していました。

その中で、一部の検索SQLに WITH(NOLOCK) を付与せずに実行してしまいました。

本来は参照専用の処理であったにもかかわらず、ロックが発生し、他の更新系処理や検索処理が待たされる状態となりました。

その結果、システム全体の応答速度が低下し、利用者から「画面表示が遅い」「処理が返ってこない」といった問い合わせが発生する事態となりました。

原因の整理

原因は非常にシンプルでした。

日常的に同様の検索作業を繰り返していたことで、「いつも通り書いているはず」という思い込みが生まれ、WITH(NOLOCK) の指定を失念してしまったのです。

特別な操作をしている意識が薄れ、確認を省略してしまったことが直接の原因でした。

SQL自体は構文的に正しく、エラーも発生しなかったため、実行時点では問題に気づけなかった点も障害を大きくした要因です。

検討した対策案

この障害を受けて、以下の対策を検討しました。

まず、よく使用する検索SQLをテンプレート化することです。WITH(NOLOCK) を含めた形で標準のSQLテンプレートを用意し、そこからコピーして使用する運用に切り替えることで、指定漏れを防ぐことを狙いました。

次に、誤って実行されても気づけるよう、コメントを含んだテンプレートを作成することです。

例えば「※NOLOCK未指定のまま実行しないこと」といった注意書きを含めることで、実行前に確認を促す仕組みを考えました。

最終的な結論

最終的に採用した方針は、SQLのテンプレート化を徹底することです。

テンプレート化されていないSQLは、原則として商用環境では実行せず、必ずテストサーバー上でテンプレート化してから使用するルールとしました。

また、SQL実行前に必ず確認すべきチェック項目を定め、「参照系SQLか」「NOLOCK指定はあるか」「実行対象環境は正しいか」といった点を毎回確認する運用に変更しました。

この経験から学んだこと

今回の障害を通じて、日常的な慣れからくる「思い込み」が、重大な障害につながる可能性があることを再認識しました。

個人の注意力に依存する運用は限界があり、作業を属人的に行うほどリスクは高まります。

標準化されたテンプレートや手順、チェックリストに従うことで、ヒューマンエラーは確実に減らせます。

小さな手間を惜しまないことが、結果としてシステム全体の安定性を守ることにつながる。

今回の事例は、その基本を改めて教えてくれました。

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