※Claude Codeを使用して記事を作成しています。
前回の記事では、営業・カスタマーサポートが「技術的に可能か」を確認する方法を紹介しました。
第2部の5回目は、
QA・テスター
の活用法です。
QA・テスターの仕事において、最も悩ましいことのひとつが、
「テスト観点の抜け漏れ」
です。
- 正常系ばかりテストして、異常系を見落とす
- 経験に頼ったテストになり、属人化する
- 「一通り確認した」つもりでも、リリース後にバグが見つかる
Claude Codeを使って、テスト観点を体系的に洗い出す方法を紹介します。
テスト観点の抜け漏れが起きる理由
テストの抜け漏れは、経験不足だけが原因ではありません。
- 仕様書に書かれていないケースに気づけない
仕様書は「起きてほしいこと」中心に書かれがちで、「起きてほしくないこと」は書かれていないことが多い - 思考の癖に引っ張られる
同じ人がテストを設計すると、得意な観点に偏りやすい - 時間的制約で網羅性より速さを優先してしまう
リリース直前になるほど、最低限の確認で済ませがちになる
Claude Codeは、これらの偏りを補う「もう一つの視点」として活用できます。
Claude Codeはテストを「実行」しない
最初に前提を共有します。
Claude Codeは、
- 実際にアプリを操作してテストする
- 自動テストを実行して結果を返す
といったことはできません。
できるのは、
「何をテストすべきか」を洗い出し、整理する
ことです。
QA・テスターの実務は、この洗い出しをもとに、実際の確認作業を行うことになります。
実例:新機能のテスト観点を洗い出す
ここでは、「クーポン適用機能」が追加された場面を例にします。
仕様の概要は以下の通りです。
- ユーザーはクーポンコードを入力して割引を受けられる
- クーポンには有効期限がある
- クーポンには最低利用金額が設定されている場合がある
- 1回の注文につき、クーポンは1つまで使用可能
ステップ1:仕様をもとにテスト観点を洗い出す
まず、仕様をそのまま伝え、テスト観点を洗い出してもらいます。
【質問例】
以下の仕様のクーポン適用機能について、テストすべき観点を洗い出してください。
正常系だけでなく、異常系や境界値も含めてください。
【仕様】
- ユーザーはクーポンコードを入力して割引を受けられる
- クーポンには有効期限がある
- クーポンには最低利用金額が設定されている場合がある
- 1回の注文につき、クーポンは1つまで使用可能
Claude Codeが、以下のように整理してくれます。
【テスト観点の例】
■ 正常系
- 有効なクーポンコードを入力し、割引が適用されること
- 最低利用金額の条件を満たした状態で適用できること
■ 異常系
- 存在しないクーポンコードを入力した場合、エラーになること
- 有効期限が切れたクーポンを入力した場合、エラーになること
- 最低利用金額に満たない場合、適用できずエラーになること
- 既にクーポンを適用した状態で、別のクーポンを入力した場合の挙動
■ 境界値
- 有効期限の当日にクーポンを使用した場合
- 有効期限が切れる前日・切れた翌日の挙動
- 最低利用金額ちょうどの場合
- 最低利用金額より1円少ない場合
■ その他
- クーポンコードの大文字・小文字の扱い
- クーポンコードに空白が含まれていた場合の挙動
- 通信エラー時にクーポン適用処理がどうなるか
自分では気づきにくい境界値や異常系の観点まで、一度に洗い出せることがわかります。
ステップ2:観点をカテゴリごとに深掘りする
洗い出した観点の中で、特に気になるカテゴリをさらに深掘りします。
【質問例】
「境界値」の観点について、有効期限に関するテストケースを
もう少し詳しく洗い出してください。
Claude Codeが、以下のように詳細化してくれます。
【有効期限に関する詳細ケース】
- 有効期限の前日に使用した場合(問題なく適用されるべき)
- 有効期限の当日に使用した場合(問題なく適用されるべき)
- 有効期限の翌日に使用した場合(エラーになるべき)
- 有効期限の時刻ちょうどに使用した場合
(日付単位か時刻単位かで挙動が変わる可能性がある)
- タイムゾーンの違いによって、
有効期限の判定がずれる可能性がないか
このように深掘りすることで、時刻の扱いのような、見落としがちな観点にも気づけます。
ステップ3:バグが起きやすいパターンを教えてもらう
一般的に、似たような機能でバグが起きやすいパターンも参考として聞いてみます。
【質問例】
クーポン機能のような「条件付き割引」の実装で、
一般的にバグが発生しやすいパターンを教えてください。
Claude Codeが、以下のように答えてくれます。
【回答例】
- 複数の割引条件が重なった場合の計算順序の誤り
- 端数(小数点以下)の処理が仕様と異なる
- 一度適用したクーポンを取り消した際、
金額の再計算が正しく行われない
- 在庫切れなど、他の処理と組み合わさった際の想定漏れ
- クーポン適用中にカートの中身を変更した場合の挙動
こうした一般的な知見を参考にすることで、
自社の仕様書には明記されていない
潜在的なリスクにも目を向けられます。
ステップ4:テストケースを一覧表の形式にまとめる
洗い出した観点を、
実際にテストで使う形式に整えてもらいます。
【質問例】
ここまで洗い出した観点をもとに、
テストケース一覧を表形式でまとめてください。
「前提条件」「操作」「期待結果」の3列にしてください。
Claude Codeが、以下のような形式で整理してくれます。
【テストケース一覧例】
| 前提条件 | 操作 | 期待結果 |
|---|---|---|
| 有効なクーポンコードを保有 | クーポンコードを入力する | 割引が適用される |
| 有効期限が前日のクーポンを保有 | クーポンコードを入力する | 割引が適用される |
| 有効期限が翌日に切れたクーポンを保有 | クーポンコードを入力する | エラーメッセージが表示される |
| 最低利用金額に満たない注文 | クーポンコードを入力する | エラーメッセージが表示される |
| 既にクーポンを適用済み | 別のクーポンコードを入力する | 適用できない旨のメッセージが表示される |
この一覧をベースに、実際のテスト実施記録として活用できます。
バグ報告の精度を上げる使い方
テスト中に見つけたバグを報告する際にも、Claude Codeが役立ちます。
【質問例】
以下の内容を、エンジニアに伝わりやすいバグ報告の形式に整理してください。
「クーポンコードを入力したら、割引されるはずなのに金額が変わらなかった。
最低利用金額は満たしていたはず」
Claude Codeが、以下のように整理してくれます。
【バグ報告例】
■ 概要
クーポン適用時に、割引が反映されない
■ 再現手順
1. 最低利用金額を満たす商品をカートに入れる
2. 有効なクーポンコードを入力する
3. 合計金額を確認する
■ 期待結果
クーポンによる割引が合計金額に反映される
■ 実際の結果
割引が適用されず、合計金額が変わらなかった
■ 補足情報
- 使用したクーポンコード:(記載する)
- 注文金額:(記載する)
- 発生日時:(記載する)
「なんとなく変だった」という報告ではなく、再現手順が明確な報告にすることで、エンジニアが原因調査をしやすくなります。
テスト観点洗い出しで注意すべきこと
洗い出した観点を全て鵜呑みにしない
Claude Codeが提示する観点は、一般的なパターンに基づくものです。
自社のサービス固有の仕様や、過去に起きた不具合の傾向も踏まえて、
洗い出された観点を取捨選択する
視点が必要です。
実際の操作確認を省略しない
観点を洗い出すことと、実際に動作を確認することは別の作業です。
Claude Codeで洗い出した観点をもとに、必ず実機・実環境での確認を行ってください。
QA・テスター向けの質問テンプレート
【テスト観点洗い出しテンプレート】
1. 以下の仕様について、
テストすべき観点を洗い出してください。
正常系だけでなく、異常系や境界値も含めてください。
(仕様を書く)
2. 「(気になるカテゴリ)」の観点について、もう少し詳しく洗い出してください。
3. この機能のような実装で、
一般的にバグが発生しやすいパターンを教えてください。
4. ここまでの内容を、
「前提条件」「操作」「期待結果」の表形式でまとめてください。
まとめ
QA・テスターがClaude Codeでテスト観点を洗い出す方法をまとめます。
- 仕様を伝え、正常系・異常系・境界値を一度に洗い出す
- 気になるカテゴリはさらに深掘りして詳細化する
- 一般的なバグの傾向を参考に、潜在リスクへの視点を広げる
- 観点はテストケース一覧の形式に整理して実務で使う
- バグ報告は再現手順が明確な形式に整える
テストの網羅性は、個人の経験や注意力だけに頼ると限界があります。
Claude Codeを「もう一つの視点」として活用することで、
属人化しにくい、安定したテスト設計
に近づけることができます。
次回予告
次回から第3部「コミュニケーション編」に入ります。
「エンジニアへの依頼文をClaude Codeで整える」
をテーマに、
- 伝わる依頼文と伝わらない依頼文の違い
- Claude Codeを使った依頼文の推敲方法
- 依頼の優先度・緊急度を明確にする書き方
を紹介します。

